世界を救う“もったいないかき揚げ”
本校71期生60名は、3月シンガポールで、SDGsについていろいろなことを学びました。
他にも71期生は、日常生活の中で環境問題についてしっかり考え、個人レベルで、またグループ単位でSDGsへの取り組みを行っています。今回は、藤田結悟くんの取り組み「世界を救う“もったいないかき揚げ”」をご紹介します。
次の写真はお正月の茶道部初釜稽古で出された料理研究部の点心。毎年、畑で育てた野菜を中心にしたエコロジカルでエコノミカルなメニューです。もちろんお味は抜群。
中でも私が感心したのは、かき揚げです。野菜の甘味と歯ごたえが何とも言えず美味でした。
聞くと、風呂吹き大根に使った大根の皮や、紅白なますに使った人参の皮で作ったかき揚げだとか。この料理担当の藤田結悟くんは、かき揚げを題材にした中学生作文がコンクール(2024年夏のテーマ:私にできる気候変動対策)で入賞しました。若者が「もったいない」意識をしっかり持って生活してくれれば、地球の未来は明るい!
以下、藤田くんの作文です。ぜひお読みください。
「世界を救う“もったいないかき揚げ”」
家から出た途端、汗が流れる。京都盆地の夏の暑さは言わずもがなではあるが、それにしても昨今の暑さは異常だと思う。ふいに冬に受けた「数学で環境問題を考える」という授業が思い出された。温暖化の原因である温室効果ガスのCO₂濃度の関数グラフ。十八世紀から上昇しはじめ、ここ数十年は急カーブを描いていた。続いて京都地方気象台調査官の講演も蘇る。現在地球は、過去千四百年で最も温かくなり、気候変動が起きている。この影響は降水量や海面水位の変化、生態系の喪失といった自然界への影響だけではない。電気供給や医療等のインフラ機能停止、食糧や水の不足等、人間社会にも深刻な影響が想定されていた。夏を迎え、あの時の話が切実に迫ってきた。パリ協定について学んだ冬には、遠い約束に思えたが、今は違う。これは僕の問題だ。流れる汗がその証拠だと感じだ。
僕に何ができるだろうと考えながら学校に着く。夏休みの今日、向かうは所属する料理研究会である。僕らは料理を作る。絶対に食材を余らせないという理念のもとに。使う量だけ買う、使い回しで使い切る工夫の上、どうしても使いきれない時は冷凍して次回使う。無論作った分は残さず頂くことを信条としている。そしてもう一つ、調理中に出た食材のかけらや根菜の皮、畑で育てている野菜の間引き菜等、捨ててしまいがちな食材も、余すところなく使うという鉄則がある。そういえば食品ロスも温暖化の一因だったことを思い出す。すると、当たり前に実行してきた部活での取り組みが、温暖化を防ぐために僕にできることだというひらめきがあった。帰宅して調べたところ、ひらめきが確信に変わった。何と世界で排出される温室効果ガスの最大一割が、食品ロスから排出されていた。世界では、食糧の五分の一が捨てられている。日本では減ってきてはいるものの、それでも国民全員がおにぎり一個分のご飯を毎日廃棄しているのと、ほぼ同量だという。もったいない、と直感的に思った。この感覚が食品ロス削減を達成する鍵だと感じた。ならば、この感覚を新しい文化にすれば食品ロス削減につながるのではないか。
“もったいない精神で作る新しい食文化”として、僕の頭の中には料理研究会でお正月に作る余り食材のかき揚げが浮かんでいる。おせち料理には昔から、黒豆が健康、エビは長寿といった大切な意味が込められている。ならば、令和のおせちには「もったいない」の意味を込めた余り食材のかき揚げが必要だ。
来年からおせちに、“もったいないかき揚げ”を入れてほしい。その一枚一枚が、新しい食文化を作り、もったいない精神を広げ、根付かせ、やがて世界を救うのだ。