実を結ぶものはみな
実を結ぶものはみな、いよいよ豊かに実を結ぶように手入れをなさる。
(ヨハネ15-1・2)
3月23日(木)は本校の終業式・中学校卒業式でした。いろいろなことがあった1年でしたが、無事この日を迎えられたことに感謝します。
今年は例年より桜の開花が早く学園の桜の花も入学式をまちきれず、美しく咲いています。
昨日の式では桜をとりあげて、私自身への自戒もこめて、生徒達に以下のような話をしました。
「本校通用門のそばで日々生徒を迎えてくれる桜の樹は、毎年いっぱいに枝をのばして、毎年見事な花をつけて私たちを楽しませてくれていますが、実は老木で幹にも空洞があいているようです。あのまま何も手入れしないで枝を伸び放題にしておくと、見た目だけでなく、花のつきも悪く、樹木本体も疲弊してしまい花を咲かすことはできません。先日専門の方が枝打ちをして、すっきりとした姿になり、今年も見事な花を咲かせてくれそうです。どの枝を残し、どの枝を落とすのか。プロの職人さんは一本一本、的確にみきわめ、桜の花の魅力と生命力を最大限に引き出していきます。
人間も桜の樹と同じです。花を咲かせるまでには時間がかかること、花が咲くには冬の寒い時期や暗さも必要なこと――人間についても、学びの場面だけでなく、さまざまな課外活動において、すぐに成果がでるはずがなく辛い時期を経験してはじめて得るものがあるのです。ただ、毎年春に一斉に花をつける桜とはちがって、人間は個人個人によって「冬」の長さや「春」の訪れのタイミングが違うので、より忍耐が求められます。
今、皆さんにとって重要なのが、枝の剪定と同じく、将来を見据えて何を残し、何を切るかを選択することではないでしょうか。何かを得るためにはその対価、犠牲が伴うもの。「剪定」とは、生かすために、切ることです。皆さんの眼前にはあらゆる可能性がひろがっていますが、あれもこれもと欲張る余りに、どれにもエネルギーが行き届かないということがないように、この春、桜の樹を見あげて、自分なりの「剪定」を考えてください。
皆さんは将来見事に枝を伸ばし、花を咲かせていける存在だと、私たちは信じ見守っています。」
美しい花を咲かせるために、よい実を結ばせるために、今後も努力してまいります。
校長 小田